活動報告

昨年度の部会活動実績

2025年度部会活動実績

出版印刷部会

 2025年度の出版印刷部会は、「物流」「本・印刷の魅力の発信(らぶっく)」の分科会と共に活動を展開してきました。また、今年度は教科書印刷部会と合同による部会も開催し、出版印刷に関わる課題についても共有し、課題解決に向けて検討してまいりました。
 出版印刷部会では以下の3つの活動を中心に展開してきました。活動の一つめは、2024年度に日本雑誌協会・日本書籍出版協会・日本出版取次協会に申し入れた「製本・納品工程に関する7つ課題」に対し、加盟各社が出版社に改善活動を実施した結果を月例の部会にて共有してきました。申し入れに対しては、得意先各社の受け止め方に温度差もあり、改善規模も小規模にとどまっていることを受け、各課題解決に向けて出版印刷部会として更なる前進に向けた取り組みが必要であるとの認識にいたっております。
 活動の2つめは、日本出版取次協会との連携活動として、今年度より同協会に対し、東京都製本工業組合書籍・雑誌部会の連名にて「物流および製本加工の作業効率化に向けた取り組み」に関する申し入れを行うとともに、課題共有会の場を設定し、取次協会のトップを交えて課題解決に向けた協議を始めました。課題共有会では、物流及び製本加工の作業効率化に関し、取次・印刷・製本会社での用語の違いなどで生じるニュアンスや受け止め方の差を縮めて、今後の改善に努め、出版業界としてお互いに前向きに進めるべく、同会議を継続的に進めていくことが確認されました。
 活動の3つめとしては、印刷/製本の製造に関しての市場環境(原材料の価格高騰中心)の認知促進を目的とした「出版物の製造市場を取り巻く環境について(2025年9月現在)」の資料を作成し、印刷工業会のHPに公表しました。同資料については、印刷・製本に関する市場だけでなく、他業界(食料品等)の物価高騰関連の数値も掲載し、訴求活動を展開しています。
【物流分科会】(計9回開催)
 2025年度の分科会活動としては、出版印刷部会で申し入れた「製本・納品工程に関連する7課題」を元に、 納入時間の指定緩和、納入指示書の早期提出、納品時における付帯作業の軽減を中心に要請の内容を絞って、得意先に訴求するべく活動を展開し、その進捗を分科会にて確認しました。同活動については、各社の物流部門だけでは全体の課題を改善していくには「遅い」との共通認識を経て、物流部門の垣根を超えた出版業界全体の課題解決を目指すべく、出版印刷部会との共同で、取次協会との課題共有会にて申し入れと協議を展開しています。物流分科会では本伝票の廃止や作業効率・作業内容の洗い出しなど、今後も共通課題を精査し、訴求活動を展開していきます。
【らぶっく分科会】(計10回開催)
らぶっく分科会は2つのWG(イベント施策・SNS施策)に分かれて活動を展開しました。イベント施策については、本と出合うきっかけを創出することを目的として「本の贈り合いイベント」の企画・運営に関する活動を今年度も展開。11月~2月にかけて、らぶっく分科会メンバー各社にて「本の贈り合いイベント」を開催しました(参加社 8社、参加人数 387名)。同イベントについては、次年度も出版社や書店など他業界を巻き込んで展開していく予定です。SNS施策については、紙・印刷・造本などの魅力や面白さを伝えることを目的としたInstagramでの情報発信に関し、今年度、フォロワー数の増加を図るべく、リール投稿などの動画を含めたコンテンツの見直しや認知活動を展開しました。その結果、直近のフォロワー数は145人となりました。次年度もフォロワー数1000人の達成を目標に活動を展開していきます。尚、「ブックサンタ2025」も前年度同様、B2ポスター拡材を製造し提供しました。次年度については、認定NPO法人チャリティーサンタ事務局ともより連携を強化し、イベント施策、SNS施策を展開していきます。

 

教科書印刷部会

 2025年度は部会を通じて業務に関する情報共有、特に、デジタル教科書を取り巻く状況と現状や、今後のデジタル教科書の方向性などについて部会メンバーにて確認してまいりました。また、今年度は出版印刷部会と合同による部会も開催し、出版印刷に関わる課題についても共有しながら教科書印刷部会としても課題解決に向けて検討してまいりました。併せて、会員相互の資質向上に役立つ部会活動として年2回の見学会も実施しました。

《主な活動内容》
1. 定例部会(2025年5月15日、8月22日、10月17日、2026年3月13日)
 5月15日の定例部会では2024年度活動報告及び2025年度活動方針について、部会メンバーと内容を共有するとともに今年度の見学会候補について検討しました。8月22日の定例部会では、「令和8年度 高等学校 見本本調査」資料を元に、製造仕様/環境対応などの共有のほか、中教審初等中等教育分科会「デジタル教科書推進ワーキンググループ」の資料などを参考に、デジタル教科書の動向について意見交換を行い、今後の教科書印刷部会の活動テーマについて議論しました。10/17日の定例部会では、9/24日に公表された中教審初等中等教育分科会「デジタル教科書推進ワーキンググループ」の審議まとめの内容をメンバーにて確認しました。同審議でのデジタル教科書を取り巻く状況と現状や、デジタル教科書が現状の教材の位置づけから、検定・採択・無償供与等の対象になること、並びに部分的に紙またはデジタルで構成されるハイブリッドな形態の教科書も認めるなどの内容について共有しました。また、同審議を踏まえた今後の動向について、引き続き情報収集を進め、課題について部会メンバーで共有していくことを改めて確認しました。3月13日の定例部会では、2026年度活動方針について検討しました。
2.「令和8年度 高等学校 見本本」の調査
 23発行者、243書目の令和8年度高等学校見本本を対象として、調査内容に対し意見交換を実施しました。令和8年度の特徴として、教科書における植物性インキやライスインキの使用、再生紙、「グリーンプリンティング認定工場」での印刷の表記など、環境配慮の傾向について情報を共有しました。
3.出版印刷・教科書印刷合同部会(2025年6月30日、9月25日、11月25日)
 今年度より出版印刷部会との合同部会を3回開催しました。合同部会では、らぶっく分科会及び物流分科会の活動内容について共有するとともに、「出版印刷製造課題解決」に関する取り組みや業界としてステークホルダーに訴求していくための基盤となる情報について確認し、教科書印刷部会でも活用していくこととしました。
4.見学会(7月3日、12月8日)
 7月3日に東京北区にある独立行政法人国立印刷局 東京工場の見学会、12月8日に東京品川区にある東洋製罐グループが運営する容器文化ミュージアムの見学会をそれぞれ実施しました。

 

商業印刷部会

 2025年度の商業印刷部会は運営委員会と2024年に再編成した2つのグループ会(CR会・R&D会)の活動での構成により運営しました。
 運営委員会では、商業印刷の発展に向け、部会員各社の共通テーマとして有効と思われるもの、かつ現状の課題解決に向けた観点から、CR会、R&D会の部会メンバーの意見も踏まえ、商業印刷部会の今後の活動テーマについて議論しました。全体の意見として大きく浮き彫りになった課題は「人材不足の慢性化」であり、その要因として「高齢化」、「若年層が定着しない」、「外国人労働者の活用の限界」、「職場の制度(働き方改革)・技術革新の遅れ」などの意見があり、「職場環境整備」、「省人化・自動化(DXの推進)」、「環境対応(SDGs)への対応の強化」、「業界の魅力の再定義」が必要などとの意見が寄せられました。それらの大きな要因となっているのは「業界としての魅力の希薄化」であり、「業界の魅力をどう再構築し、発信していくかが問われている」との意見がありました。それらの意見を踏まえ、商業印刷部会では全体の大きな課題である「人材不足」に対し、課題解決に向けた取り組むべきテーマとして「DXなどの推進による業務の効率化」と「環境/SDGSを中心とした商業印刷部門の魅力の発信」に焦点を当て、2025年度以降、活動を展開していくこととしました。尚、この2つのテーマについては、CR会とR&D会で分担し、検討していくこととしました。
 後半期には会員各社を対象に「商慣行」や「受注環境」など商取引に関する現状と、「人材不足」に関する取り組みに加え、活動テーマの一環として「FSC認証」や「生成AI」に関する設問を設けた「商印アンケート調査」を実施しました。調査結果をもとに、次年度以降、活動テーマに関する部会各社の現状と課題の抽出や取引慣行是正に関する検討などに展開していきます。
 また、運営委員会では商業印刷部会全体を対象とした「勉強会(セミナー)」についても検討し、2025年度は下記の勉強会を開催しました。
・第1回 勉強会(7月10日) 「2025年のメディアと印刷市場展望」 (電通メディアイノベーションラボ)
・第2回 勉強会(2月24日) 「生成AIの活用事例とリスクについて」 (アドビ株式会社)
上記の内容を含め、2025年度の運営委員会は計8回開催しました。

 2025年度の2グループ会での活動内容としては、商業印刷部会の今後の活動テーマに関する意見交換、検討を経て、CR会では活動テーマとして「環境/SDGSを中心とした商業印刷部門の魅力の発信」、R&D会では「「DXなどの推進による業務の効率化」をそれぞれ担当することとしました。それぞれの活動テーマを踏まえ、勉強会や見学会などを通じて現状と課題解決に向けた議論を進め、その内容を共有していくこととしました。
 各グループ会で開催した見学会、勉強会は以下となります。
 CR会  7月:サプティー㈱筑波工場(シルクスクリーン印刷など特殊印刷に関する見学会)
     10月: ㈱光陽社による環境配慮型プリントに関する勉強会
 R&D会  7月 : ㈱キーエンスによるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に関する勉強会
     12月:富士フイルムビジネスイノベーションン㈱「Future Edge」(印刷DXに関する取り組みの見学会)

紙器印刷部会

 紙器印刷部会では、月1回の部会を開催し、会員各社の市況動向並びに取引慣行改善の状況を共 有しております。25年5月には改めて会員各社へ「業界課題」や「部会への要望」などアンケー トを実施し、その中で要望の多かった「各種取引条件改善による収益確保」や「環境リサイクル」 を中心に議論を進めました。また、紙器印刷部会として、製紙連合会や印刷機メーカーとの接点 を増やし、枠を広げた活動を目指しました。

1.市況及び業界動向の共有
●毎月の各社市況動向共有に加え、四半期ごとに『得意先業界の景気状況』を取りまとめ、部会内  で共有し、個社限定の影響なのか、業界(商品カテゴリー)全体の影響なのかを議論しています。 2025年度も食品を中心とした消費財の価格改定が行われた影響により、多くの得意先製品群で 金額ベースで前年度を上回るものの、数量ベースでは前年度を下回り、我々会員各社にとっては、 規模の面において厳しい状況が続きました。特にカカオ高騰により改定幅が大きかったチョコレート群は、猛暑の影響も重なり低迷が長期化しました。全般的に、製品値上げ後に物量が減少し、その回復スピードも年々遅くなっており、消費者の節約志向が一段と強まっていることがうかがえました。 トイレタリー関連は前年並みの水準で推移し、化粧品関連は高級品と低価格品の二極化がさらに 進行、医薬品の医家向けは24年10月開始の「選定療養制度」の影響を受け、ジェネリック医薬 品の伸びが顕著でしたが、中国人観光客の減少によりOTCは苦戦を強いられる状況となりました。
2.取引慣行改善の取り組み
●原料価格反映はもちろん社会環境に合わせ労務費等の改善を打ち出し、業界地位向上を図るべく、 収益確保に努めました。在庫期間圧縮、納品回数削減、納品時間指定の解除といった物流対策や 製版代・型代などのイニシャルコスト改善に向け、従来よりも幅広い取り組みを開始しました。 過去慣習の打破が必要ですが、会員各社は積極的かつ継続的な条件改善交渉を進めております。
3.研修会・意見交換会
●2回の研修会に加え、日本製紙連合会様との意見交換会を実施しました。
 ・(10月24日)小森コーポレーション つくばプラント
  最新鋭の印刷設備の説明を受け、日本企業の高い技術力及び印刷分野の更なる可能性を感じる。
 ・(10月28日)日本製紙連合会 秋山理事
  製紙業界における環境問題の歴史、紙を巡る誤解と真実、新素材への挑戦を学ぶ。
 ・(3月19日)日本製紙 富士工場 (吉永)
  大規模かつ高品質な生産を誇る歴史ある工場で、白板紙とクラフトライナーの抄紙機を見学。
4.若手育成セミナー開催(2026年3月10日)
●軟包装部会と共同で、富士通㈱シニアエバンジェリストの松本国一氏をお招きし、 「データ活用が生み出すこれからのビジネス~データが作り出す便利な世界~」をテーマに、 90分間の貴重なご講演をいただきました。紙器印刷部会および軟包装部会のメンバーも19名参加し、講演後の懇親会では、講師の松本氏を交えて105名が交流しました。

軟包装部会

1.原材料価格動向の把握
・国産ナフサ価格は、2025年度は 60,000~70,000円台/KLで安定して推移していましたが、2026 年2月末の中東紛争でホルムズ海峡が封鎖されたことにより、ナフサ価格が急騰し、調達にも支 障が生じ始めました。この状況を受け、2026年3月には軟包装部会名で「中東情勢緊迫化に伴う 包装資材の供給体制および価格改定に関するお願い」と題した要望書を急遽作成、活用しました。
2.情報共有と取引慣行改善活動の推進における取り組み
・毎月の部会では各社による市況報告を行っていますが、今年度は新たな取り組みとして各社に共 通する課題を掲げ、その対策を部会の課題として検討することとしました。挙がった課題を絞り込み、部会員をA.「人手不足」チームとB.「取引慣行是正」チームの2つに分け、それぞれが臨 時部会を開催し討議を重ねました。
A.「人手不足」チームでは、①現場が直面する課題、②友好的な働き方・取り組み、③理想の職 場像についてアンケートを実施し、各社の取り組みは参考となる事例も多く見られましたが、企業規模や地域特性の違いから共通で取り組める項目は限られており、最終的には全体での対応ではなく、個社ごとに取り組む方針となりました。一方、B.「取引慣行是正」チームでは、各社から①取り組みたいテーマ、②現状の問題点を挙げてもらい、4つのテーマに整理しました。その 中から、各社の共通課題として優先度が高い「適正な製版代・プリプレス費用の回収」と「在庫 買い上げに関するルール化」を取り上げ、要望書の作成に着手しました。
最終的には、日本印刷産業連合会および印刷工業会の麿秀晴会長名で取りまとめるべく内容を検 討し、麿会長にも確認いただき、3月中旬に「包装資材の持続的な安定供給と公平な取引慣行確立 に向けたお願い」とし要望書が完成しました。要望書には、①成果物作成(プリプレス・製版)に かかる適正な費用のお支払いについて、②在庫引き取り・保管ルールの確立についての2点を盛 り込み、各社での活用を開始しています。なお、作成途中段階で紙器印刷部会にも情報共有した ところ、同様の課題を抱えていることが確認されたため、4月より同じ要望書を活用し、業界全体 の課題として取り組むこととなりました。

液体カートン部会

1. 運営委員会
・通常の委員会を6月・9月・3月に開催し、技術委員長、環境委員長より各々の活動報告を受けました。また1月の全体会議では委員全員が集まり活動内容を共有しましたが、更に今回は部会活性化に向け、各委員会に対して「やるべき事」や「やって欲しい事」について全員にアンケートを実施しその結果に基づき今後の方向性や活動方針について議論を交わしました。
2. 環境委員会
・アルミ付飲料用紙容器のリサイクルについて、委員が中心となり年2回組成分析調査を実施し、現状把握に努めていますが、2024年度の使用済みアルミ付紙パックの回収率は3.4%と−0.2Pの微減となりました。その背景には、集団回収~市区町村や古紙原料問屋などの実施が減少していることに加え、近年アルコール飲料の紙容器においてアルミなし製品の販売量がアルミ付製品を上回っていることなどが影響していると考えられます。
・「アルミ付飲料用紙容器のリサイクルフロー調査」に係る組成分析調査は、6月に静岡県富士市の山田洋治商店、12月に千葉県野田市の野田エコセンターで実施しました。これらの調査結果を含めた「2025年度アルミ付飲料用紙容器のリサイクルフロー調査報告書(2024年度実態)」を、3月末に発行しました。
・「酒パックリサイクル促進協議会」は酒造メーカーが中心となり、「LL紙パックリサイクル推進研究会」は、飲料メーカーやリサイクル業者が参加する団体で、環境委員会はこれらと協働し年3~4回の会合を通じてリサイクル推進を図っています。その一環として、12月10~12日に開催された「エコプロ2025」に出展し、来場者へリサイクルの現状と協力をアピールしました。今回は初めて全国牛乳容器環境協議会(アルミなし紙パックの回収促進)のブースと背中合わせで1ブロックを構成することになり、それを意識した展示内容と案内を心掛けました。
3.技術委員会
・今年度は共通課題として、各社が受けた「消費者クレームに対する回答事例集」を、異物付着・異物混入・漏れの3分野に分けてまとめ上げました。今後もクレームが発生した際は、この事例集に追加していくこととしています。また、11月にはトヨタ産業技術記念館(繊維機械館・自動車館)を見学し、技術の進化を辿りながらモノづくりの精神を体感しました。

 

建材部会

従来通りの活動:
● 4VOC自主表示制度の内容検討と継続運用
・登録件数:2026年3月末時点47,025件、1年間に於ける登録497件、削除993件
・2025年1月29日 エチルベンゼン放散速度基準値改訂(550→54µg/㎡h)に伴う
 4VOC放散に関する自主表示制度規程、運用細則、を改定(26年4月1日HP掲載)
● 化粧板用印刷紙の合法性証明制度の継続運用
・3年に1回の事業者認定の更新を実施、今年度の更新は5社
・2025年度証明書発行回数:216回(前年度より109回減)
● 見学会:11月開催「竹中大工道具館」

新たな取り組み:
● テーマ選定にあたり、部会員、環境委員、夫々から現在の課題を挙げてもらったところ、
  その数は39項目に及んだ(その一例を以下に記載する)
● コスト  :企画費,デザイン開発費,版代,の回収が不十分
     :長期在庫の引き取り期限が不明確
● 品質・補償:原材料の廃番/統廃合,4M変更の繁忙さ
     :印刷不具合有りの場合に要請される補償額大きい(製品加工分)
     :過剰な意匠性/品質への要求
● 人材・育成:労働力不足 / 技術継承の難しさ
● 設備・環境:設備導入の負担「高」/ VOC使用を前提としたCO2削減コスト高

情報セキュリティ部会

2025年度の情報セキュリティ部会の活動は、証券印刷物関連のデジタル化や環境対応・材料メーカーの方針転換などによる証券印刷物への影響や材料や素材を含むサプライチェーンに関する業界課題などの情報共有と対策を検討していく「証券印刷WG」と、企業の機密情報管理や情報漏えい対策に関する課題と対策について研究する「情報管理WG」を設け、活動を展開してきました。また、情報セキュリティ関連など社会課題の解決に向けた勉強会や、幅広い業界における知識・知見を身につけるための勉強会、見学会を開催しました。結果、年間の活動開催回数としては、定例部会を8回、勉強会2回、見学会を2回、実施しています。

【証券印刷WG】
・一部のサプライヤーより、これまで各社で採用していた磁気テープの磁性体が、軍事利用観点で韓国の輸出規制対象品となり、今後の調達が不可となるとの情報を受け、現在、カードや通帳の製造を行っている印刷会社における今後の影響などについて、情報共有を図りました。また、各社の購買部門とも連携し、磁気テープのサプライヤーからの情報、及び対象となるカードや通帳への影響度、変更後に必要な対応などについて、引き続き、情報共有を図っていくことを確認しました。
・その後も数回に渡り、サプライヤーからの情報、及び対象となるカードや通帳に関する影響などの情報共有を経て、代替品に関する内容を検討しました。検討の結果、代替品のテストに関する情報を共有し、次年度に向けて各社がコストを抑えつつ、スムーズに代替品に移管できるよう検討を進めています。
【情報管理WG】
・部会メンバーが持ち寄った自社、及び他社の情報漏えい事例について検証するとともに、各社の情報漏えい事故に関する実践的な対策や成果について共有していくこととし、それに関連する勉強会なども検討していくこととなりました。
・その後、上記の内容を踏まえ、印刷業界特有のリスク、各社に共通する対策のポイントについて議論しました。議論の元、情報漏えいリスクへの対応に関し、「事前設計」、「リスク分析」、「リスク対策」、「残リスクの明確化と合意形成」が不可欠であることを部会メンバーで共有しました。
・また、各社の生成AIの利用実態・導入状況、利用範囲や業務での活用事例、運用ルールなどについても共有しました。生成AIを活用するにあたって、各社ともセキュリティや著作権、プライバシーに関する課題、懸念事項を抱えており、運用方針やルール、チェック体制の更なる整備に関する議論について次年度も進めていくことを確認しました。
【勉強会】
① 開催日 :  2025年7月29日(火)
講 師  :  株式会社LAC 営業統括部 統括部長 隠岐祥一氏
テーマ :  サイバー攻撃の現状とセキュリティ対策
② 開催日  :  2025年12月2日(月)
講 師 :  SBIホールディングス(株) 執行役員ブロックチェーン推進室長 藤本 守氏
テーマ :  ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨・セキュリティトークン・ステーブルコイン等 デジタル資産の今後
【見学会】
① 開催日 :  2025年9月 8日(月) 大阪・関西万博
② 開催日 : 2026年2月19日(木) アドミュージアム東京

資材部会

 2025年度の国内経済は、大阪・関西万博の開催やインバウンド需要の継続的な拡大 、さらには賃上げの浸透による個人消費の緩やかな回復が見られました。しかし、印刷業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続き、原材料価格の高止まりや物流コストの上昇が印刷需要の減少に拍車をかけている状況です。

特に商印・出版分野の需要減少は依然厳しく、グラフィック用紙は大幅な前年割れが続いています。この需要減は製紙メーカー、インキメーカーをはじめとする諸資材のメーカーにおける稼働率低下、採算悪化を招き、昨今の労務費・物流費上昇と併せた「採算是正値上げ」は、今後常態化していく様相です。

 2025年度の資材部会は、月1回の定例部会を開催し、印刷用紙・フィルム・関連資材などの需給ならび価格動向の実態をタイムリーに把握できるよう、コンプライアンスを前提とする情報共有を行ない、連携強化を図りました。

 さらに新たな取り組みとして、物流問題に焦点を当てて、議論を開始しました。物流二法改正により、着荷主である印刷会社各社においても、待機時間の削減や荷役作業の適正化が求められる中、物流に対する危機意識も高まっており検討開始となりました。

「物流を競争領域ではなく、協調領域と捉える」という共通認識の下、原材料の共同保管や共同配送について、勉強会形式で議論をスタートしました。ミルクラン方式など、物流パターンを学んだ上で、会員各社の生産拠点を地図上にマッピングしてお互いのロケーションを確認したり、各社で取り組みたいアイテムについて意見交換したりしながら、議論を重ねています。

この取り組みの一環で、印刷インキ3メーカーの共同保管・共同配送を担うロジコネット株式会社をお招きして、共同配送の効果やメリット、物流業界の抱えている課題感など、幅広くディスカッションしました。「情報共有」といった新たな課題も見えてきており、来期も引き続き検討をしてまいります。

 また、サプライヤーとのコミュニケーション施策として、11月に王子製紙㈱・米子工場の見学会を開催しました。会員相互の研鑽と親睦を図るとともに、サプライヤー企業様と資材部会とのパートナーシップを醸成しました。サプライヤー業界においても資材部会の認知度は高まってきていると感じています。
 

教育・研究部会

会員企業の持続的発展に向け「事業基盤の強化」及び「人材育成支援」「SDGsや環境問題への対応」等に照準を当て、年間を通じて有効性の高い多様な講演会・セミナーの企画・運営に取り組みました。
具体的には、2022年から継続して実施している「Printing for SDGsセミナー」を2回開催したほか、「9月印刷の月」の特別講演会と年末会員懇談会のセミナーの開催を支援しました。

■活動実績
【直接運営】
◆2025年11月【Printing for SDGsセミナー】第8回
・日時:2025年11月20日(木) 16:00~17:30
・講師:中村優子氏(フリーアナウンサー、PR)
・演題:「就労困難者からの起業」
    ~社会課題解決に挑むスタートアップに私がコミットする理由~
・概要:元アナウンサー起業家が語る持続可能な働き方について

◆2026年3月【Printing for SDGsセミナー】第9回
・日時:2025年3月17日(火) 16:00~17:30
・ゲスト:黒川鮎美氏(監督)、合田貴将(主演)
・映画:「息子と呼ぶ日まで」
・概要:LGBTQ+当事者の日常や葛藤、家族との関係を描いた作品を上映し、
    監督・主演によるトークセッションを実施
【企画支援】
◆2025年8月「9月印刷の月」協賛特別講演会
・日時:2025年8月20日(水) 16:00~17:30
・講師:名越 康文氏(精神科医)
・演題:「心の健康~前向きに暮らすためのヒント~」
・概要:職場や人間関係の中で心を軽やかに保つための心の整え方と
    前向きに生きるヒント

◆2025年12月 年末会員懇談会 セミナー
・日時:2025年12月5日(金) 16:30~17:30
・講師:杉本 美香氏(柔道家、ロンドンオリンピック銀メダリスト)
・演題:「個の育成術~スポーツの現場から学ぶコーチング~」
・概要:柔道指導の経験に基づく人材育成と信頼関係づくりのコーチング理論の紹介
   

技術部会

・技術部会では知識の共有を深めながら、PIDの編集企画や勉強会・見学会の開催  を通じて、関連業界のさまざまな技術情報を収集し、発信しています。

1.印刷技術情報誌PIDの企画・発行
・印刷技術情報誌PIDを194号から197号まで発行し、各号の特集記事となる「技術レポート」を企画・編集しました。
194号(4月)「ミマキエンジニアリングのインクジェット技術とデジタル捺染技術」 (㈱ミマキエンジニアリング)、195号(7月)「印刷検査のインダストリー4.0実現」 (シリウスビジョン㈱)、196号(10月)「Comexi社CI Evolutionのサステナブルパ ッケージングソリューションのご紹介」(㈱SCREEN GP ジャパン)、197号(1月) 「パッケージの高付加価値化に寄与するEB硬化技術」(東洋インキ㈱)を掲載しま した。今後も、パッケージのオフセットEB印刷技術やインクジェット印刷など、最 新技術を積極的に取り上げていきます。
・「技術ダイジェスト」については、毎号、部会員全員がニュースリリースを中心に注目すべき記事候補を選定し、投票によって掲載記事を7件に絞り込んでいます。内容が分かりにくい場合には図を掲載するなど、制約のあるなかでも改良を重ねながら原稿を執筆しています。
・記念すべき2026年10月発行予定の200号については、1年前から内容に関する討議を重ね、1月には定例外の打合せも実施しました。

2.見学会の開催
・11月には千葉県柏市の(株)シンク・ラボラトリーを見学しました。グラビア製版の自動ラインでは、ロボットがシリンダーを連続搬送しながら製版を行う様子を視察しました。また、最新の軟包装用インクジェット印刷機については、紙の表刷りやフィルムの裏刷りに適した水性インキの開発から、印刷機のフレーム製造までを自社で一貫生産している工程を見ることができました。パイロットラインでは受注生産により多種多様なパッケージが実際にン製造され、市場にも流通していることが確認でき、小ロットの軟包装市場の今後の変化を強く感じることができました。

ダイバーシティ推進部会

1.活動方針
 ダイバーシティ推進部会では、印刷業界における多様な人材の活躍促進と、働きがいのある魅力ある業界づくりを目的として活動を行いました。2025年度は、単年度の取組みにとどまらず、中期的視点に立った活動の方向性を検討するとともに、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の観点から業界の現状と課題の整理を進めてきました。
 その結果、シニア層の活躍機会の創出、若手・中堅層のキャリア形成、女性活躍や障がい者雇用の推進、柔軟な働き方制度の整備、ハラスメント対策、経営層のコミットメントの強化などが、業界に共通する課題として認識することができました。

2.主な取組
 業界の実態把握のためアンケート調査を実施したところ、シニア雇用や若手人材育成への関心が高い一方、企業規模によってダイバーシティ推進に対する意識差が見られることが確認できました。
 これらの課題を踏まえ、部会内に以下の三分科会を設置し、それぞれのテーマに沿った検討を進めております。
• 高齢者雇用推進分科会
シニア人材の活躍促進をテーマに、関連法制度の整理や、会員企業における好事例およびシニア社員の活躍事例などの紹介について検討を行った。あわせて、定年を迎えキャリア転換を行ったシニアへのインタビューを実施。今後は、PAJを活用して会員企業への事例紹介を行う予定。
• 若手・中堅キャリア形成分科会
若手社員のキャリア形成支援を目的に、アンケート調査や座談会の実施、他社事例の共有などを通じ、業界全体の人材育成の底上げに向けた取組みを検討中。
• D&I意識改革分科会
経営層のコミットメント発信や外部講師によるセミナー開催、男性育児休業取得促進などをテーマに、業界全体の意識改革につながる施策を検討中。
また、部会の活動や業界課題については、会報誌「PAJ」等を活用した情報発信を進め、アンケート結果や取組事例を紹介することで、会員企業への理解促進と意識醸成を図ってゆく。
   
 

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