活動報告

昨年度の部会活動実績

2022年度部会活動実績

出版印刷部会

 出版科学研所による2022年(1~12月期累計)の紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は、1兆6,305億円と前年比2.6%の減と4年振りのマイナスとなりました。このうち紙が6.5%減の1兆1,292億円と落ち込み、対して電子出版が同7.5%増の5,013億円と統計市場初めて5,000億円を突破しましたものの、紙の減少分をカバーするには至りませんでした。2年に及んだコロナ特需が終息したのに加え、物価高も大きく影響しました。紙の内訳は、昨年プラスだった書籍は同4.6%減の6,497億円、雑誌は同9.1%減の4,795億円と振るいませんでした。一方、電子出版では、電子コミックは同8.9%増の4,479億円で電子出版市場の9割弱を占めています。
こうした中にあって2022年度の出版印刷部会では、従来からの「物流」「雑誌BCP」「本・印刷の魅力の発信(らぶっく)」の分科会活動の他、出版業界全体の効率化や活性化に向けた働きかけとして、6月に部会として「出版業界に関わる印刷・製本での課題」において5つの問題提起を行いました。会員企業メンバーと検討の上、方向性を提示し、最終的にその内容を日本雑誌協会、日本書籍出版協会へ説明しました。
(5つの問題提起とは、①オフセット平台校正機の廃台とデジタル化移行 ②DTP制作アプリケーション推奨環境への移行
③用紙予備枚数適正化 ④枚葉用紙の「スキット」納品 ⑤書籍パレット共通化) また、年度後半では、昨年来からの印刷の主要資材であるインキ・用紙等の原材料の値上げや光熱費・物流費の高騰を鑑み、「原材料・光熱費高騰分の価格反映に関するお願い」として、お取引先各位向けの「要請書」を部会として作成し、この内容も上記同様、2団体に説明の上、部会員への展開を図りました。
なお22年4月の幹部交代で部会長・佐藤仁氏(大日本)、幹事長・国府田徳明氏(共同)、副幹事長・林太郎氏(共同)が就任。23年4月、副部会長・早津篤氏(凸版)異動で同小笠原実氏(凸版)就任となります。

【物流分科会】
 2022年度の分科会活動としては前半4月、5月、6月には3回実施し、8月に、そこで詰めた課題を日本出版取次協会に提示しました。ドライバーの労働環境改善の「2024年問題」における共通認識も持てました。9月の分科会では今後の対応について話し合い、11月には日本出版販売㈱の王子流通センターの見学会を実施しました。2月の出版印刷・教科書印刷の合同部会において、1年間の活動を総括しました。

【雑誌BCP分科会】
 前年度に引き続き、2022年度もオンラインによる「緊急協議開催訓練」に向けて、日本雑誌協会・日本出版取次協会との共同分科会を通じて有事における対応を図りました。22年度の取り組み課題としては、日本雑誌協会非加盟出版社への継続的なコンセンサス醸成、訓練のレベルアップ、インキ製造・製本・表面加工の各団体との連携再構築が挙げられます。それらを踏まえ、本年3月の「緊急協議開催訓練」では3団体で20名近くがリモートで参加、23年度も22年度の課題を踏まえて、継続実施することになりました。

【らぶっく分科会】
  2022年度の分科会活動は実質的には開催できず、「ブックサンタ」の活動のみに留まりました。「ブックサンタ」については、前年度同様、ボランティアなどの活動はなく印刷部分だけの提供でしたが、拡材の製造提供予算を増額しました。参加店舗数779店舗、寄付冊数75,813冊(リアル書店54,801冊、オンライン書店16,998冊、クラウドファンディング4,014冊)、お届け冊数は40,000冊と前年度より大幅に増加しました。 ※以上の分科会活動の他、例年通り日本雑誌協会からの要請を受け、四半期毎に印刷各社へ雑誌印刷部数証明の調査をお願いし、年度の「マガジンデータ」の発行に協力しました。

教科書印刷部会

 2022年度は部会を通じて業務に関する情報だけにとどまらず、相互の資質向上に役立つ活動を部会で討議し、積極的な活動を図ろうと企画しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染の影響により部会の開催が思うように進まず、年間活動としては見学会を含め5回に止まりました。 以下が主な活動内容です。
1.「R5年度 高校見本本」の調査
25発行者、26教科、200書目のR5年度高校見本本(主にⅡ物)を対象として、判サイズ/綴じ仕様/表面加工仕様の調査の他、デジタル教科書の有無・QRコードの有無をまとめ、傾向を把握するとともに部会で共有しました。
2.「令和4年度 教科書発行の現状と課題」の共有
教科書協会で毎年度発行している、「令和4年度 教科書発行の現状と課題」資料を使用し、各教科書会   社が課題としている事項について、部会内で情報共有を行いました。(主に、「教科書の定価」「大判化・頁増によるコスト増」「デジタル教科書の制作にかかる費用の問題」「児童生徒数の減少」等)
3.「教科書製作の改善提案」冊子の見直し
2017年以降休止していた、「教科書製作の改善提案」冊子を見直し教科書協会へ提案し、編集を担う発行社と製造にあたる印刷会社との作業環境の統一・情報の共有化・相互確認を徹底することで、ちょっとした手違いから思わぬ編集・製造ミス引き起こす危険性を減少させ、効率の良い作業進行と業務品質向上に繋げることを目的に作業を着手しました。
4.「印刷博物館」及びVRシアターの見学会を実施
東京都文京区にある凸版印刷の「印刷博物館」の見学会を実施。同博物館は2021年10月、開館20周年を記念して常設展示を中心に施設を刷新しリニューアルオープンされています。    当日は、宗村副館長による博物館の概要説明を頂き、その後VRシアターでは「東大寺大仏の世界」のコンテンツを鑑賞しました。

商業印刷部会

2022年度の商業印刷部会は例年通り、「運営委員会」と3つのグループ会(CP研究会・IRグループ会・R&D会)の活動での構成により運営されました。「運営委員会」では、商業印刷部会全体(33社)を対象とした年間2回の「勉強会(セミナー)」、及び年始・期末の2回の懇親会等の立案・開催を行いました。また3グループ会でのそれぞれのテーマに基づく活動内容の確認と相互の連携の調整を行うとともに、昨年来からの印刷の主要資材であるインキ・刷版材料・用紙をはじめとした原材料の値上げに加え、エネルギー費、物流費の高騰を受けて、お取引先各位向けに「ご発注価格ご検討のお願い」としての「要請書」を作成し、部会員への展開を図りました。
年間2回の勉強会の内容としては、7月に電通メディアイノベーションラボ・北原利行氏による「2022年のメディアと印刷市場展望」、10月に一橋大学大学院商学研究科教授・鷲田祐一氏による「デザイン経営:ユーザー体験とブランディング」の講演をオンラインと来場の併用にて開催しました。例年実施している「商印アンケート調査」は調査項目の見直しの上で実施、2年続けて中止となった「商印ゴルフ会」は10月に開催、「新年講演会/交歓会」では、本年1月にフリーアナウンサーの河野景子氏を講演者に「こころをつかむコミュニケーション」と題してご講演を頂きました。さらに8月に予定していた夏季懇親会はコロナ禍で中止となったため、代わって年度末に3部会合同の懇談会を開催しました。
各グループ会での主な活動(勉強会・見学会)は以下の通りです。
 <CP研究会>
・5月勉強会…凸版印刷のSDGs事例紹介
 タイトル: TOPPA!!! TOPPANのSDGsでビジネス
  講 師 凸版印刷(株)マーケティング部 SDGsプロジェクト部長 今津 秀紀氏
 <IRグループ会>
・6月見学会…㈱東京研文社のオンデマンドセンター(東京・新宿区)の見学。都内でも珍しい2020年度に開設したフルデジタル・プリンティングファクトリー。
・10月勉強会…㈱スズキ紙工の環境に配慮した、紙製のパッケージ、什器・ディスプレイ、付箋・メモ帳、その他各種ノベルティグッズの紹介。
PXC㈱の新規事業である「ハンソクエスト」の紹介。販売促進ツールを作りたい人と販売促進製作企業とを結ぶ。
・3月勉強会…豊栄産業㈱の「紙・段ボール」を使ったパッケージやディスプレイの製造設計品の紹介。他に大型インクジェット対応のディスプレイや段ボール防災用品、フィリピンでのデータ作成支援などの紹介もあった。㈱井上総合印刷で令和3年に譲り受けた「ミウラ折り事業」の紹介。様々の「ミウラ折り」のノベルティグッズなどの現物を配布。
 なお、3グループ会では、2回に亙って会員各社から「資材値下げ状況、価格転嫁の状況」についてヒアリングを実施し、その内容を運営委員会、各グループ会で情報共有しました。  

紙器印刷部会

1.市況動向の把握と共有
・「得意先業界の景気状況」を、四半期毎に報告いただきまとめたものを部会で共有しています。 2022年4月~2023年3月のまとめでは、前半はトイレタリー・化粧品・医薬品は前年並みでし たが食品はレンジ対応のレトルトが好調、一方チョコやビスケット類は伸び悩み、乳製品は機能 性ヨーグルトが縮小傾向でした。後半は、製品価格改定とコロナ禍の反動で、家庭内食機会減が 重なり、食品・菓子・乳製品は不調も、テーマパークやお土産の販売は回復傾向、化粧品、医薬 品はインバウンドの影響で販売好調です。
・「取引慣行改善の取り組み」は、すべての会社が価格対策に注力し、原材料関連値上げによる価 格転嫁交渉を実施していますが、現在も続いています。さらにエネルギーコスト上昇分について も同様にお願いをしていますが、厳しい状況は続いています。生産ロットの見直しや在庫販売に 関しても申し入れを強化しています。
2.その他の取り組み
・タイムリーな情報共有として、「日本の包装産業出荷統計(2021年度)調査結果について」や新聞各紙より、関連のある情報を提供しました。
・2023年3月に数年ぶりの見学会を開催しました。紙のリサイクルに関心はありましたが実際に現場を見たことがあまりないという事で丸富製紙㈱富士根工場を訪問し、牛乳パックをはじめアルミ付紙パックや産業古紙などを原料として、パルプをトイレットペーパーに再生する工程を見せていただきました。一方、ポリエチレンについては燃料として有効利用され、環境にやさしい取り組みをされていらっしゃり、リサイクルの重要性を再認識しました。
3.若手育成セミナーの開催
・2023年2月16日、軟包装部会と共同で90分のオンラインセミナーを開催しました。テーマ及び 講師について両部会員の投票により選考した結果、放送作家、ビジネス書作家の石田章洋(あき ひろ)氏に「伝わる」コミュニケーションとは~人気テレビ番組に学ぶ「伝え方」~をテーマ でZoomにて講演いただきました。約160名が参加したセミナーでしたが、その内容はネガティ ブな言葉をあまり使わず、ポジティブに1つだけのことを結論ファーストで伝えること。改めて 普段自身が伝えるために話している順番や構成を整理する機会となりました。あと、認知症の予 防のためにも、声を出して笑うこと(ほっほ!ははは!)が大切だそうです。対面で伝える機会 も増えてくるでしょうから、笑顔での会話に心掛けましょう。

軟包装部会

1.原材料価格動向の把握
・ 国産ナフサ価格の状況は、2020年4~6月期の25,000円/KL(最低値)から2022年4~6月期の 86,100円/KL(最高値)まで上昇が続きましたが、以後第3Q 81,400円/KL、第4Q 72,500円/KLと 下落幅は10%以上となっていて、価格交渉にも影響を及ぼしています。
2.情報共有と取引慣行改善活動の推進、他
・月次の市況報告を行い、前半はGW前から夏場にかけて受注は増加し売上はアップしましたが、利益が伴わず厳しい状況が続きました。さらに原材料不足で混乱が生じる中、一部輸入品に頼るところもありましたが、円安のためコストにも大きな影響がありました。後半は、全体的に売上好調も、価格転嫁による値上げ効果の影響に過ぎず、仕事量が増えていても納期対応に苦慮するなど利益を生み出す根本的な構造改善には至っていない状況です。
・取引慣行改善においては、長期在庫削減の交渉と預かり在庫の出荷を強化しています。コロナ禍で止まっていた工場の監査についてはWEB対応での実施をしましたが、印刷立会いは要望の強い所のみ一部解禁となりました。
・2月会員会社の㈱光邦様の新座工場に水性フレキソ印刷機を2回に分けて見学に行きました。環境に配慮した次世代型印刷機として今後の広がりを狙っています。
3.日本ポリエチレンラミネート製品工業会との交流会開催
・年3回(6月・9月・2月)の定期交流会を継続開催していて両会会員より市況やナフサ価格変動 の報告、国内のプラスチック資源循環施策等の情報共有を行ってきましたが、来年度からは先方 の都合により残念ながら交流会の開催を中止することになりましたため、今後は必要に応じて連 絡を取り合うことといたしました。
4.若手育成セミナーの開催
・2023年2月16日、紙器印刷部会と共同で今年度も90分のオンラインセミナーを開催しました。 セミナーのテーマを検討する中で、テレワークなどで直接会うことができないためコミュニケー ションを取ることが難しくなってきているという意見をいただき、講師候補を挙げて両部会で投 票を行い放送作家、ビジネス書作家の石田章洋(あきひろ)氏に「伝わる」コミュニケーションとは~人 気テレビ番組に学ぶ「伝え方」~をテーマでZoomにて講演いただきました。各社の若手社員をは じめ、部会員の皆さんも多数参加くださり、約160名が聴講しました。このセミナーを受講され た方は上司への伝え方が変わり始めたかもしれません。

液体カートン部会

1. 運営委員会
・今年度は6月・9月・3月の委員会をZoomとの併用にて開催し、技術委員長、環境委員長より各々の活動報告を受けました。また毎年1月は全体会議として委員全員が集まり活動内容を共有しています。技術委員会からは「消費者の素朴な疑問に対する回答事例集」の進捗状況を報告、環境委員会は、アルミ付飲料用紙容器のリサイクルの現状やアルミ残渣を有効活用できる企業の取組み等を紹介しました。
2.環境委員会
・アルミ付飲料用紙容器のリサイクルについて、昨年同様事業委託先のNPO法人「集めて使うリサイクル協会」と連携して施策を推進しました。2021年度の使用済みアルミ付紙パックの回収率は3.4%と前年と変わらず、2016年をピークに0.9ポイント減少しています。
・「アルミ付飲料用紙容器のリサイクルフロー調査」に係る組成分析調査は、今年度予定通り2回実施しました。11月埼玉県朝霞市にある山田洋治商店にてスーパーマーケットのライフコーポレーションの店頭回収品500㎏、1月コープデリ連合会の店頭回収分を対象に野田エコセンターにてアルミ付・なし混合回収品500㎏を仕分け分類して数値化しました。この調査結果を含めた「2022年度アルミ付飲料用紙容器のリサイクルフロー調査報告書(2021年度実態)」を3月末に発行しました。
・「酒パックリサイクル促進協議会」は、5月・10月・2月に運営委員会、10月下旬に第41回情報交流会・関西地区見学会の開催となりました。運営委員会では調査部会・広報部会から活動報告をいただきました。情報交流会は、環境省「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」についてと日本ウエスト㈱「エコの種を蒔こう 想いが未来を創る」の講演をいただきました。
・「LL紙パックリサイクル推進研究会」は、5月・10月・2月に運営委員会、7月に会員全体会議を昨年同様Teamsで行い、情報共有化勉強会も3月末に動画配信での実施となりました。
・12月7~9日に開催された「エコプロ2022」は出展企業も減少し、来場者数も約6万人と少なかったですが、リサイクル活動に興味を持ったメーカーや商社、自治体の方に説明しました。
3.技術委員会
・前年度からの継続テーマ「消費者の素朴な疑問に対する回答事例集」の作成に向け、全12点の内容を討議し、まとめ上げました。今後は、更に内容を精査し、会員各社が共有して活用できる形として完成させていきます。
 

建材部会

1.4VOC自主表示制度の継続運用
・放散速度値の測定は、各社3年に1回ごとで検査測定を行っており、今年度は3ヵ年の2年目で制度の運用規則に則り会員4社を選定しましたが、6~8月に4VOC放散速度値の測定を実施できたのは3社となりましたが、各社いずれも結果は基準値内でした。来年度は6社で実施予定です。
・4VOC製品登録件数は、2023年3月末時点で52,752件となり、2022年4月以降から1年間で786件が登録されました。4VOC申請登録システムは順調に進行しています。
2.化粧板用印刷紙の合法性証明制度の継続運用
・2015年11月より認定実施要領に則り、制度運用を開始しています。事業者認定に関しては3年に1回更新をお願いしており、更新時期は各社異なりますが2023年3月末の認定登録社数は前年から1社増え10社となり、手続きが無事に完了しました。
・2022年度の証明書発行回数の実績は409回となりました。年度末には、各社より「合法性の証明された製品等の取扱実績報告」に発行回数を記入、捺印、提出いただき結果をHPに掲載しています。
3.部会活動では以下の内容に取り組みました。
・部会の開催を昨年度より2ヵ月に1度とし、環境委員の方にも毎回参加いただき市況報告などを中心に情報交換を行いました。
・コロナ禍が続き、厳しい年度となりました。原材料やインキ・溶剤・樹脂、さらに工場エネルギー価格の高騰で値上げの打診をしても受け入れていただけないケースも多く、見通しがつかない状況です。また、合板不足のため加工ができず売り上げが伸ばせないことも影響が大きかったです。営業には価格交渉を依頼、製造にはコストダウンを要請し、収益確保に動いています。
・輸出に関しては、コロナ後比較的好景気であった欧米の景気減速が見られ、エネルギー問題もありモノの動きが停滞しています。
・見学会を9月に開催しました。毎年放散値測定を依頼している、MCエバテックつくば分析センターで、測定している実際の検査機を見るのは初めてでしたが、最新機器や日本最大クラスの大型機器も保有されており、今後も継続して測定依頼を行うことに確信を持ちました。

情報セキュリティ部会

2022年度の情報セキュリティ部会の活動は、セキュリティ関連に係らず、幅広い業界における知識・知見を身につけることを第一義におき、それによって会員各社のビジネスが拡大していくよう、一年間活動を進めて参りました。またコロナ禍では余り開催できなかった会員間の懇親を通じ、情報交換も図ってきました。
年間の開催回数としては、部会が2回(5月・3月)、勉強会が1回(7月)、見学会が1回(11月)と少なかったものの、内容的には充実しておりました。
3月の最後の部会では、23年度の勉強会、見学会の候補について、会員メンバーと話し合い方向性を決めました。22年度実施の勉強会、見学会については、以下の通りです。
【勉強会】
開催日 :  7月4日(木)
講 師 :  原島 和音(Kazune Harashima)氏 (GCT GROUP 副社長)
※GCT GROUP
2017年に上海を拠点として設立。以来、日本、中国、シンガポールを拠点に「BLOCKCHAIN」「Metaverse」の最先端技術を追求する開発事業取り組むビジネス集団。
テーマ : ブロックチェーンについて
印刷会館の2階会議室にてZoomによるリモートも併用して開催。1間半に亙り、約60名弱の方が参加され、先端技術が紹介されました。講演内容としては、以下の通りです。
1.同社概要(自己紹介)2.ブロックチェーンとは(基本概念) 3.NFTとは(基本概念)
4.その技術(2,3)は世の中でどのようなことに使われているのか(一般論)
5.印刷会社として関連しそうなところは? 6.同社が取り組んでいる事業紹介 7.質疑応答
【見学会】
開催日 : 11月24日(木)
場  所 : 日本製紙㈱・吉永工場&富士工場
内  容 : 今回のメインテーマは「クリーンエネルギー」のため、バイオマス発電に重点をおいた形での見学会となりました。バイオマス発電とは、木質ペレットや木質チップ、PKS(パーム椰子殻)などの木質系燃料のみを使い、石油や石炭などの化石燃料を使用しないクリーンな発電のことです。今回は富士工場内にあるバイオマスボイラーをメインに見学しました。製紙業界はもともと再生可能エネルギーおよび廃棄物エネルギーの使用比率の増強を図っています。日本製紙㈱のエネルギー事業の戦略としても、長年培ってきた発電技術、豊富な土地・インフラ・木質バイオマス調達力などを強みに再生可能エネルギーの供給力拡大を進めていくこと、非化石エネルギー比率(重油換算)を今後も高めていくとのことでした。

資材部会

2022年度の国内経済は、欧米に比べ脱コロナ/ウイズコロナで出遅れ、対ロシア制裁の影響による想定外の物価上昇により、個人消費の回復が遅れました。コロナ感染拡大収束後には、政府による「全国旅行支援」や自治体主導での外食支援策等により個人消費は一旦持ち直すも、欧米のインフレ加速と海外景気の悪化を受けてモノの輸出が減少しました。
こうした経済情勢の下、日本製紙連合会によると紙・板紙の内需は、2021年に対前年101.6%と11年ぶりに上回りましたが、2022年1月~12月は、パッケージング用紙や衛生用紙は前年を上回ったものの、グラフィック用紙の不振が響き、紙・板紙合計では対前年99.0%となり、減少しました。新聞用紙は、北京冬季オリンピックやFIFAワールドカップ等による押し上げ効果があったにもかかわらず、発行部数減等により対前年93.1%と落ち込みました。非塗工印刷用紙は、デジタル化の影響を受けた縮小が続いており、原燃料価格の高騰や急激な円安進行による物価上昇にともない商業印刷関係、出版関係等の需要が減少し、対前年94.9%でした。塗工印刷用紙は、2021年に対前年101.2%とプラスに転じたものの、2022年は物価高の影響で企業の販促費が抑制され、カタログ・チラシ・パンフレット用途等が減少したことから、対前年95.1%と再びマイナスとなりました。情報用紙は、感熱紙原紙が底堅い動きを示しましたが、主力のPPC用紙が、コロナ禍によるデジタル化の進展、在宅勤務拡大等の影響を受けマイナスで推移し、対前年95.5%でした。
製紙メーカー各社は、10月から11月に「想定した以上に用紙の原材料となるチップや古紙、重油、薬品等の原燃料価格が高騰している。一部を製品価格に転嫁せざるを得ない」とし、印刷用紙需要が減っているのにも関わらず、3回目の値上げを発表しました。1年で3回の値上げという異例の事態であり、2021年10月と比べて150%以上の値上げとなりましたが、部会員各社にて交渉を重ねた結果3月に概ね妥結しました。
石化品については、多種多様な値上げ要請に対し、コスト上昇は回避不可能であり、価格反映は止むを得ないと部会員各社は判断し、安定調達等を優先し順次要請を受入れてきました。上昇を続けていたナフサ価格が夏以降下落傾向にあり、今後は下落方向に進むであろうとの予測がされています。ただし、あくまでも予測であり、ナフサ価格は世界情勢の影響を受けやすいため、ウクライナ情勢が落ち着いたり、中国でのコロナによるロックダウン解除されて需要が戻ってきたりすると、再度ナフサ価格は上昇する可能性があります。
このような厳しい環境の下2022年度の資材部会は、新型コロナウイルス感染対策を取りつつ、月1回の定例部会をリモートメインで開催し、用紙・フィルム・関連資材・エネルギー等の需給と価格動向の実態把握ができるよう、コンプライアンス遵守前提での連携強化を図り、各社に的確な情報の提供を行いました。  

教育・研究部会

2021年度に続き、2022年度もまた、新型コロナウイルスの感染拡大により、当部会主催のセミナーについても大きな影響を受けた。 隔月で行っている定例部会では、会員企業の「事業基盤の強化」及び「人材育成支援」に資する教育・研究活動を目指し、活発な意見交換を行い、よりタイムリーで会員の興味・関心が高いセミナーテーマなどについて検討した。
従来のビジネス関連や教養一般に加え、【Printing for SDGs】セミナーとして、社会的な要請が高く、普段接することが少ないが印刷業界ならではのテーマのセミナーも2回開催した。
■実施実績:
○2022年8月 「9月印刷の月」協賛特別講演会
・日時 2022年8月31日(水) 16:00~17:30
・講師 元グーグル日本法人 代表取締役社長 辻野晃一郎氏
・演題 「日本のDXが進まない本当の理由」
・DXは創造的破壊。従来型を維持したままでのDX化は意味がない。
・外注に丸投げでは、真のDXやクラウドの活用は進まない。
・リーダーは自らコミットしていく必要がある。
・良いアイデアをつぶさない雰囲気、働き方が必要。
・自分のビジネスがローカルであっても世界とつながっているという視野を持つことが大切
○2022年7月 【Printing for SDGs】セミナー第2回
・日時 2022年7月20日(水) 16:00~17:30
・講師 講師:一般社団法人ワンジェネレーション共同代表・鮎川 詢裕子氏
・演題 「地球温暖化を私たちの世代で止めるためにPrintingが出来ること」
○2023年3月 【Printing for SDGs】セミナー第3回
・日時 2023年2月20日(月) 16:00~17:30
・講師 NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構 田中陽介副理事長氏
・演題 「誰も取り残さない未来に欠かせない印刷人のための【カラーユニバーサルデザイン】」
   

技術部会

・技術部会では、PIDの編集企画や見学会の開催を通して関連業界の各種技術情報や知見を得て、それらを発信することで印刷を魅力ある業界にしていくという方針のもと、2022年度の活動を行いました。
1.技術情報誌PIDの企画・発行
・技術情報誌PIDを182号から185号まで発行し、各号の特集記事となる「技術レポート」を企画・編集しました。
・4月発行の182号では「デジタル印刷機の最新動向」(㈱小森コーポレーション)を掲載。7月発行の183号は「印刷工場生産自動化のために開発・進化を続けるシリウスビジョンの画像検査技術」 (シリウスビジョン㈱)、10月発行の184号は環境問題への関心が高まっている中、「印刷インキの環境対応」(㈱T&K TOKA)、更に1月発行の185号では、高齢者の多くが発症する「老人性白内障」に注目した「超高齢社会に向けた色彩と印刷」(東洋インキ㈱)を企画・掲載しました。
・「技術ダイジェスト」については、毎号部会員全員が新聞やニュースリリースを中心に注目すべき記事候補を選択、掲載決定記事を選考し、原稿を執筆しています。
2.見学会の開催
・部会員の方から見学希望先を提案いただき、今年度は7月に「印刷博物館」と「市谷の杜 本と活字館」を同日に見学いたしました。印刷博物館では、概要を説明いただいた後、プロムナード、常設展で印刷の歴史を紹介後、館内を自由見学、その後VRシアターを視聴しました。市谷の杜 本と活字館では、1926年に建てられたものを復元した施設の中で、1階の印刷所と2階の展示室にて説明と体験をさせていただきました。
・また、11月には千葉県佐倉市にある「DIC川村記念美術館」へ見学に行きました。20世紀美術を中心とした多彩なコレクションやクロード・モネやピカソなど有名作家の絵画展示、さらに印刷技術を連想させるようなCMYKの版ごとに重ねていく変化を見せる作品の展示もありました。美術館は公園の中にあるため、紅葉の時期と重なりリフレッシュできるとても有意義な時間を過ごせました。

女性活躍推進部会

 2022年度は新型コロナウイルスによりミーティングを中心とした分科会活動は開催困難となり昨年度に引き続き分科会は中止とした。一方で、より広い人に(男女問わず)法律改正もあり今正に焦点となっている男性社員の育児休業について考える機会としてWEB形式のセミナーを開催し、会員企業から約100名を超える参加があった。
また、男女差や役割におけるギャップや問題点について先進的な研究を行なっているお茶の水女子大学ジェンダーイノベーション研究所に訪問し勉強会を行なった。
 1.セミナー
日時 2022年10月7日(金) 15:30~17:00
講師 広中秀俊氏 (育Qドットコム株式会社 代表)
演題 「男性社員の育児休業取得推進について」
会場 ZoomによるWebセミナー (参加費無料)
内容 【1部】15:30~16:10 講演「育児休業法改正の概要と取得促進
   【2部】16:10~17:00 パネルディスカッション
    ・実際に育児休業を取得した男性社員へのヒアリング&ディスカッション
    (※取得の実際と課題、取得してみて感じたこと 等)
    ・推進部門での課題や今後について意見交換 他
《パネルディスカッションでの目立った意見》
・取得を可能にするには育休を取ろうと早くから決めてしまうこと。
しっかりとした準備期間が可能にさせる。3ヶ月はみたい
・2人目の出産の場合、1人目に母親が苦労していた状況をきちんと見ていた父親程取得に動く。
・会社(人事部)から取得時期、職場のサポート体制等について面談があり、背中を押した
・自分の業務を出来る人が(複数)出来たのは会社にとっては良いこと。これお不安と感じてしまう男性社員がいないか(取得推進の妨げになる)
2.運営委員会委員へのインプット活動
お茶の水女子大学ジェンダーイノベーション研究所に訪問し勉強会を行なった。基本的なジェンダーについて、日本における男性の家庭での育児・家事への参画状況と課題、今後のジェンダーイノベーション等について石井副学長の講義をもとに意見交換を行なった。
   
 

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