今年度事業計画
2025年度事業計画
2025年度の経済概況は、世界的には中東地域を始めとした地政学的リスクやアメリカの政策動向、中国経済の停滞等といった先行き不透明な状況となっています。一方、国内経済においては、度重なる食料品・日用品の物価上昇やエネルギー価格の高止まり状態が続いており、先行きへの不安から個人消費が伸びていません。GDPの約6割を占める個人消費を促進するためには、物価上昇を上回る継続した賃金の引き上げが課題となっています。一方、企業を取り巻く状況も原材料価格や労務費の上昇が企業物価を押し上げており、価格転嫁が適正に行なわれるかが企業収益に大きな影響を与えています。
こういった状況のなか、政府は賃上げを継続し経済の好循環を実現するために、国全体で労務費の価格転嫁の実現を重要課題として、サプライチェーン全体での付加価値向上や取引関係の適正化に向けて「パートナーシップ構築宣言」に係わる取り組みを強化しています。
印刷業界は引き続き、サプライチェーン全体で課題を共有化し、解決に向けた取り組みを進めていくことが印刷産業の持続的な発展につながるものと考えます。「受注型・コスト競争型」の産業から「DX・AI」や「環境対応」などの成長分野への人材を含めた積極的な投資によって、ペーパーメディアとデジタルメディアの融合や環境に配慮した製品・サービスの拡大など印刷産業が目指す「高付加価値コミュニケーションサービス産業」への転換を図っていくことが必要です。
印刷工業会では、今年度も諸活動を通じ会員企業相互の事業基盤強化に向けて、12部会それぞれが設定したテーマに則り、積極的に活動を展開してまいります。各営業部会では昨年度に引き続き、直面する課題である「労務費を含めた適正な価格転嫁」「取引慣行改善」「物流2024年問題」などを中心に顧客企業にも、より一層の理解を求めながらサプライチェーン全体で事業の持続的発展を目指して活動していきます。会員各社共通の経営課題である「印刷業界のDX」や「環境問題・SDGs」「人材育成」などについても、引き続きスタッフ部会を中心に会員各社連携による相乗効果を図ってまいります。
本年度も上部団体である日本印刷産業連合会に対して、理事のほか主要委員会に多くのメンバーを派遣するなど連携を図り、また関係省庁からの要請や協議に際しては、印刷産業の主要団体として業界の維持・発展に向け責任ある行動に努めてまいります。
今年度も印刷産業を取り巻く環境は厳しい状況が続きますが、環境変化を前向きに捉えビジネスの拡大につながる活動を推進してまいります。
役員の皆様をはじめ、会員企業の皆様の一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。